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ヤマハが完全EV化を目指さない理由

ヤマハがCO2削減にバイクの90%を電動化か

ヤマハは2021年7月19日にCO2排出量を削減することを目標にバイクづくりを進めていくことを発表しました。
バイク分野においては、ステップを踏んで電気動力割合を上げていき、最終的には2050年までに90%を電力にするという言葉を残しています。

これにより、三輪のビークルなど、これまでの四輪や二輪の乗り物がカバーできない小型車を拡大していき、環境に対する負担が少ない移動手段の選択肢を増やしていく方針です。
ヤマハは、通常のバイクでもバッテリー内臓型とバッテリー着脱型の二つでプラットフォームを発表しています。

しかし、これらのスクーターは排気量は多くなく、125cc以下のものが基本です。
ヤマハも「125cc以下の小型バイクから電動化に進めていく」と述べているように、125cc以上の排気量を持つバイクについてはいつ、どのように進めていくかは述べられていません。

EVはホンダが一歩リード

バッテリー着脱型のバイクに関しては、ホンダがすでに商品化しており、ヤマハは遅れを取る形となっています。
ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハの4社で共通企画を作成する案も出ているそうですが、進捗は不透明で、日高社長に対する記者からの質問も突っぱねられました。
日高社長は、「バイクに使えるバッテリーの調達が最大の課題であり、必要になる量は現在の8倍である。各社がバラバラに調達しても必要量を調達できない可能性があるから、皆で同じ方向を向かなければいけない。」と述べており、バッテリー調達が最大の懸念であると言えます。

10%を残した理由

新目標ではEVを90%としており、内燃エンジンを利用する余地を10%残しています。
この理由は、先ほど述べたバッテリー調達の難しさが最大の理由になっているようです。
10%の余地については、完全合成の液体燃料などの将来的に開発されるであろう内燃エンジンを想定して、各国から認められた手法をオフセットしていくと言います。

完全EV化に対する不安

日高社長は「EVは楽しくて環境に良いのは間違いないが、航続距離に納得いただけなくなる。例えば、ツーリングで走った先に電力を供給できるインフラがあるのかどうか、ガソリン車だからこその楽しみを打ち消してしまうのではないか。」と言った不安を口にしました。
そんな懸念を解消するために、EV化と並行してハイブリッド化も進めていき、長距離ツーリングにも対応できるようにしていくそうです。
趣味的な色合いが強いバイクだからこそ、内燃エンジンの可能性を残しておきたいという気持ちが感じられる発表でした。

これからはバイクもEVの時代

みなさんご存知の通り、自動車の部門はEV化が急速に進んでおり、各社悪戦苦闘している状態です。
その波にバイクも飲まれようとしていますが、ガソリンだからこその良さがあるバイクを完全EVにしていくのは相当な時間がかかります。
ですので、バイクのEV化についてはこれからも激しく議論が交わされることとなるでしょう。